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LIGHTS UP IWATE インタビュー

岩手県一関市
ぽけっとの会 代表

千葉淑子さん

様々な子どもたちを優しく受け入れてくれる社会に

一関市を中心に重い知的障がいと重い身体障がい、どちらもある子供たちや家族の生活を豊かにしたいという目的で活動されている、ぽけっとの会の代表を務める千葉淑子さん。
最近、医療的なケアが必要な子供達が医療的ケア児として少しずつ注目されています。
医療的なケアが必要かどうかに関わらず、日常生活で支援が必要な子供達は岩手県内にもたくさんおり、それぞれの状態やニーズに合わせて特別支援学校に通学したり自宅や病院で過ごしています。
同じ地域に暮らしながらも、まだまだ、その存在や抱えている悩み、課題について、知らない方が殆どだと思います。
病気や障がいを持っていても、工夫したり、周囲の理解や協力が少しあれば、もっと子どもらしい生き方ができる。そんな活動を続けているぽけっとの会について、お話を伺いました。

◆この活動をスタートさせたきっかけ
平成9年4月に一歩が一関養護学校に入学しましたが、当初は学校にいる時間が9時~11時までの2時間だったので、帰るわけにもいかず、一歩と同学年のお母さん4人、1つ上の学年お母さん2人の計6人で、お喋りして待っていたんですね。
そのおしゃべりの中で、現状は中学部までしかないから、その後はまた家で過ごすことになるのかな?せっかく子供たちも親も楽しい時間を過ごせているのに、また、元の状況になってしまうのかな?という不安な気持ちの話があがり、だったら今、この空いている時間を使って今後の準備をしよう!と。
ですが始めた時は、自分たちでやろうという気持ちはあまりなく、この6人でまとまって手を上げておけば、もしかしたら誰かが何かをやってくれるんじゃないか、だからPRしておこう!という考え方で始まりました。

◆ぽけっとの会の名前の由来は?
「重い障がいを持つ子供達の地域生活を豊かにする会」としてスタートした会ですが、‟ぽけっとの”の名前の意味の1つ目は「人集めぽけっと」~子どもたちの存在を知ってもらい応援してもらえるように働きかけ、ボランティアとして活動していただける方を集める~。2つ目は「お金集めぽけっと」~応援していただいている賛助会員の方々からの会費、フリーマーケットなどに出店してお金を積み立てて資金とする~。3つ目は「夢集めぽけっと」~色々なところを見学したり講演会で勉強したりして夢を実現していくこと~。という3つのぽけっとを膨らませていこう、そして人に優しい地域づくりに繋げていきたいという想いからこの名前になりました。

◆どんな活動しているの?
遊休品を集めてフリーマーケットへ出店したり、関連する講師をお呼びして講演会を開催したり、他の施設への見学に行ったりしています。また、一年に一度は子供たちの成長を見ていただいたり遊んでいただく「ふれあいたいむ」と、一年間の活動や私たちの悩みなどを聴いていただき一緒に考えていただく「賛助会員さんとの懇親会」を開催しています。
その他、応援してくださる方への報告と、行政などの知らせたい方への周知をするために会報の作成をして配布しています。

 

◆行政への要望の提出をしたりしますか
正式な書類の提出というのをしたことはあまりないですが、ただ、想いを直接伝えに行って叶ったことはいくつかあります。
活動を始めた初期の頃に一関市には有料であずかっていただける施設がいくつかありますが、必要で使いたいけど以前は制度が無くお金に余裕がないという場合が多かったのです。そこで、市にお願いして使用料が半額になるレスパイト券を市の予算で発行してくれました。

◆補助金を申請して実現したことは?
神奈川県横浜市の有名な施設「朋」の見学をし、その流れで東京都世田谷区にある社会福祉法人 全国重症心身障害児(者)を守る会(以下:守る会)の会長さんや事務局の方のお話を聞き、同施設の世田谷区立三宿つくしんぼホームの見学もしました。
また、私たちが見学した施設の方々の話は、地域の人たちにも聞いて欲しいなと思い「朋」の施設長さんと「守る会」の事務局さんを呼んで講演会を開きました。

◆一関市での生活について
一関市の良かった点はいくつかの施設が切磋琢磨していたことですね。
私たちが補助金を使って見学に行く際、見学自体の交通費や宿泊費は補助金で賄うことができましたが、子供たちを連れて行けないので「じゃあ子供どうしよう・・・」と行き詰りました。そこで以前からお手伝いで入ってくれていた施設の方へお願いしてみたところ、快く引き受けてくださったのです。
この出来事で、在宅の人たちを支援する施設のニーズを感じ、一関市に新たな施設ができるきっかけとなりました。
最初は賛否両論あり「在宅の人たちで商売するのか」という声があったりしましたが、確かにニーズがありましたし、そのうち制度が整ったこともあって更に新しい施設が出来ることになりました。
通常だと「この障がいだったらここの施設しかないですね」と言われるようなことでも「いいですよ、重くてもなんでも受けますのでどうぞ」と拒否しない土地になっていったのです。

 

◆賛助会員さんに伝えたいこと
会が出来た当初は「賛助会費を集めよう」という人と「手伝ってくれる人たちからお金をとるなんてとんでもない」という人で意見が割れていたのですが、実際にはフリマの売り上げだけでやりくりするのは難しかったので、一口1,000円いただき会報を送るという形にしました。賛助会員さんは会費を払うと「これは私たちの会」と思ってくださるんですね。また、お金を払った方が応援しやすいという声もいただいています。
「ぽけっとの会」に関わってくださる方は、ただただ素敵な人たちです。子どもたちが皆さんを呼んで、そして子どもたちを可愛がってくれています。そんな優しい空間を作っていただき本当に感謝しています。

◆一歩さんは現在どんな活動をしていますか
一関市にある中里放課後子ども教室で指導員として活動しています。毎週木曜日15時から中里市民センターで出勤簿にハンコを押し、目を閉じたまま子どもたちを見守ります。
やさしく手を握られたり、マッサージされたり、顔をまじまじとのぞきこまれたり、工作したものを見せられたり、プレゼントされたり、車椅子を押してもらったり・・・といったお仕事をしています。
そこに通っている子に一歩先生はどんな先生?と聞くと「みんなをやさしくする先生」という言葉をくれました。この活動で地域の方々に一歩がどんな人かを知ってもらえましたし、その他にも声をかけてもらったり心配してもらえたり・・・一歩の宝物がまた増えましたね。

 

◆通学の問題
地域の学校に通うのが理想ですが、通える学校が限られていて遠くても通っています。送り迎えをする親はそれだけで疲弊してしまうので交通事故の心配も切り離せない状況にあります。また、子どもたちの障がいや病気には差があるので基準を設けるのは難しく、特に医療的なケアが必要な子は学校においても看護師さんについてもらわなければなりません。
子どもたちは日々成長するので時間をかけてられないのが正直なところです。その中でも、場所や環境など少しでも通いやすく過ごしやすくなるように、行政や学校に働きかけていく必要がありますね。

◆これからに求めること
現在、岩手県は空いている療育施設や病院の中にある施設にあずけるしかなく、その施設数も限られているので場所の希望がある場合は待ちの状態です。親達が、そのまた親の介護をする年齢になってくると、求めるのは安心してあずけられるグループホームです。
5~6人の小規模単位で地域の人たちと交流したり散歩したり、なおかつ、医療的ケアが必要な子を受け入れてもらえる施設ができてくるといいなと。
あとは地域の公共施設のトイレ事情がまだまだだなと感じています。理想はバギーごと入ることのできる障がい者用トイレ、そしてその中にユニバーサルシート(おむつ替え用ベッド)の設置もしてあること。障がい者用トイレがあっても、実際に使う側として見ると決して使い勝手が良いとは言えない場合も少なくないのです。最近は 「両磐地域まちづくり探検隊」に、ぽけっとの会も参加させていただいており、一歩やりんちゃんもトイレチェック隊として行くこともあります。そういった活動で街が変化しようとしてくれているのは嬉しいことです。
岩手県各地で障がい児さんをもつ集まりたい親御さんはたくさんいるのですが、あまりにも障がいが様々あり、程度の差もあることから、まとめる難しさを感じています。
そして本当に集まりたい人は余裕がなかったりして集まれていないと思うので、もっともっと集まりやすく活動がしやすい環境も整っていけばいいなあと思いますね。

[取材をしてみて感じたこと]
支援が必要な子供達も、実際には一人ひとり、できること、できないこと、やりたいことも様々です。
通える学校やお出かけできる場所も限られることがありますが、それでも少しずつ、世の中が変わってきているように思えます。それも、ぽけっとの会の活動が少しずつ幅を広げ、関わってくれる人の輪を広げてきたからではないでしょうか。
岩手県は面積も広く、冬は雪が降り移動も大変な地域です。十分なケアや理解者があるとは限りません。それでも、同じ地域で生きていく様々な子どもたちを優しく受け入れてくれる社会になっていくことを期待してやみません。
中里放課後子ども教室で、目をとして言葉を話さない、そんな一歩さんの存在が確実に子どもたちを優しくしてくれています。
みんなそれぞれ役割があって、それぞれ補い合って暮らしていける。今の時代に必要なことを一歩さんと一緒に遊ぶ子どもたちが教えてくれているような気がしました。
岩手を明るく照らす、ぽけっとの会の子どもたちとスタッフの皆さんの更なる活躍を期待したいと思います。

[プロフィール]
千葉淑子 岩手県一関市生まれ 岩手大学教育学部卒 遠野小学校・上郷小学校勤務
一歩が生まれて退職、それからはずっと専業主婦まっしぐら。現在は、ぽけっとの会の代表・一関市社会教育委員・一関市立図書館協議会委員